先日購入した「GALANTE」の「SBLA085 ”Artemis”」(画像参照)についてインプレッションする前にまず、私がGALANTEの購入を決めた理由を述べようと思う。
一番大きな理由がムーブメントである。「SPRING DRIVE」(以降SD)は「SEIKO」だけの唯一無二のハイブリッドムーブメントであり、ぜんまいで動く時計ではトップクラスの精度を誇る。(SDについては「時計52」の投稿参照)
機械式時計ではテンプ等の所謂脱進機で調速脱進を制御しているが、SDは水晶振動子を用い電子制御で調速脱進を行っている。
それ故、電磁ブレーキで回転速度を制御する為、機械式時計とは比較にならない美しいスイープ運針が可能となっている。SDの魅力のひとつと言えるだろう。
しかし、SD搭載の時計はGALANTE以外にも「Grand Seiko」や「CREDOR」等にも存在する。特に水晶振動子を更に厳選したとされるGrand Seikoの方が時計のクオリティは高い。それでもGALANTEを選んだ理由が有る。
私が所有する時計は「Breguet」の「TRADITION 7027」、「PIERRE KUNZ」の「CUPIDON」、「PATEK PHILIPPE」の「Nautilus 5712/1A」である。(それ以外にはクォーツ時計や自分で組み立てた「ORIENT」の時計等も有るが今回は割愛する。)
TRADITION 7027は2針エキセントリックダイヤルのラウンド(丸型)ドレスウォッチ、CUPIDONは2針+3針レトログラードのレクタンギュラー(長方形型)ドレスウォッチ、Nautilus 5712/1Aは2針+スモールセコンド+ムーンフェイズ等(プチコンプリケーション)の奇形オクタゴン(八角形型)スポーツウォッチである。
私はどんな時計も好きだが、自分で身に付けるとするならばドレスウォッチが特に好みである。(勿論ムーブメントには有る程度拘りが欲しい。)
その為、漠然としたデザインの好みではGALANTEやGrand SeikoよりもCREDORなのだ。しかし、現状所有する時計と被ると面白くない。出来れば使い分ける楽しみが欲しい。その為、俗に言う「デカ厚」であるGALANTEが逆に魅力的に見えたのだ。
またGALANTEはデカ厚ながら造形が非常に独創的である。デカくて厚みが有るからこそ可能な面白いケース形状もまたGALANTEの魅力のひとつだと思う。SBLA085はV字溝カットの非常に変わったコインエッジが刻まれ、その四隅を円柱(エンタシス)が装飾している。ラウンドケースなのに台になっている腕に当る部分はトノー(樽型)と言う作りなのだ。
そして、SBLA085はセンターセコンド。スイープ運針する湾曲した秒針が強い存在感を示す。またGMT機構が付属。
先に挙げた私が所有する時計にはセンターセコンドもGMTも無いので、デザイン面でも機構面でも被らない。
SDなので私の好きな機構であるパワーリザーブインジケーターも付いている。(私の所有する時計もCUPIDON以外はパワーリザーブインジケーター付きである。)72時間のパワーリザーブは私の持っている時計でも最長である。勿論シースルーバックでムーブメントを裏から覗く事が出来る事も重要である。
SBLA085はブレスレットモデルだがレザーストラップ等に換装も可能。(特に換装は考えてはいないが。)9連のコマがギラついた輝きを放つ。
ダイヤルとこのブレスレットによって微妙に下品で微妙に上品な何とも言えないバランスである。基本的にポリッシュ仕上げなのもその絶妙な厭らしさに拍車を掛けている。(正直私には似合わないと思う。)
限定であるSBLA085はダイヤルにMOP(マザーオブパール)を採用、べゼルには私が欲しいと思っていた「SBLA059」や「SBLA061」に採用されていた荊を模したアラベスク模様が刻まれている。この初代(及び2作目)の限定モデルを彷彿とさせる装飾が購入の決め手になった。
派手な時計なのでラフなファッション等に合わせてカジュアルに使っていきたいと思う。次はSBLA085について少し詳しくインプレッションしたい。