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Channel: 心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく・・
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時計99

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「SEIKO」の「CREDOR」より、遂に!トゥールビヨンを搭載した時計が発売になるとの情報を得た。
多分インターネットでも現在は殆ど紹介されていない情報の筈だ。

このブログを見ておられる方に、その内容を一足先に御知らせしようと思う。

販売は今年の5月と言われており、価格は何と5千万円。前にCREDORから販売された同じくコンプリケーションモデルであるソヌリやミニッツリピーターより高額な時計となった。

CREDORの「JURI」コレクションとなる「Cal.6830 Tourbillon "FUGAKU"」(以降「FUGAKU」)と名付けられた時計は、SEIKO初のトゥールビヨン機構搭載の機械式時計である。
嘗て「Seiko Instruments Inc.」略称「SII」より12振動のハイビートメカニカルウォッチが開発されたが、その時計に与えられた名前が「富嶽」であった。(「精工堂チャレンジキット2 その3」の投稿参照)
残念ながら富嶽は限定でのみ販売され、現在は10振動までしかSEIKOの時計にはラインナップされていない。
尤も、富嶽の開発に依って齎された恩恵もかなり有るだろう。ハイビートのノウハウは、精度の向上、耐久性向上と様々な機械式時計のメリットを生み出している。

そして、その富嶽と同じ名を与えられた限定8個の新作トゥールビヨン。
極薄手巻きムーブメントである「Cal.68」をベースに開発された「Cal.6830」は、機械としては薄型の基本に忠実なトゥールビヨンと言える。
9時位置にキャリッジを持ち、時分針は若干3時位置にずらした配置となる。
ケース径は43mm、暑さは8.7mm。ムーブメントのサイズに比較するとケースは少々大振りか。
素材はPT950、18Kを使用。
しかし、これだけではどう考えても5千万円は有り得ない。

このFUGAKUの凄さはトゥールビヨン搭載だからでは無いのだ。実はFUGAKUは、途轍も無い労力で作られる工芸時計なのだ。
トゥールビヨンのムーブメントには「照井清」氏の手で立体的な彫金を施し、「田村一舟」氏に依る漆螺鈿細工で仕上げてあるのだ。濃紺の漆に蒔絵や螺鈿が日本の伝統美を体現している。
そしてそのムーブメントを調整し組み立てるのが「平賀聡」氏。平賀氏は「某宝飾時計店46」の投稿で述べたが、某宝飾時計店のイベントで「Grand Seiko」のムーブメント「Cal.9S85」の組み立てを見せて頂いた方である。
現代の名工とも言えるこれらの人物の技術の粋を集めて作られた時計こそFUGAKUなのだ。高額なのはこれが理由である。(因みにダイヤルのブルーに合わせ、ベゼルには48個のサファイアがセットされている。これも高額な理由のひとつに違い無い。)
シースルーバックは勿論、ケースサイドに至るまで螺鈿細工を施された豪華なトゥールビヨンは、どの技術も伝統的ながら、スイスとは一線を画す日本らしさ溢れるマスターピースである。画像が無いのが非常に残念だ。(画像は入手出来次第載せようと思う。)

「SPRING DRIVE」を含めて、コンプリケーションと言われるソヌリ、ミニッツリピーター、そしてSEIKOでは作らないと思われていた(少なくとも私はそう思っていた)トゥールビヨンが完成し、残るパーペチュアルカレンダーやスプリットセコンドクロノグラフと言った複雑機構も今後は作られる可能性が出てきた。
SEIKOはコンプリケーションでも十分スイスやドイツと肩を並べると自負し、それを証明したのだ。
何れは複数の複雑機構を搭載したグランドコンプリケーションも見る事が出来るかもしれない。その時が待ち遠しいが、まずは5月、FUGAKUの販売を楽しみにしていよう。

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