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Channel: 心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく・・
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RMS05

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久々に常識外れの万年筆が発表された。

残念ながら既に様々な雑誌等で紹介されていたので、知っておられる方も多いかもしれないが、このブログでも取り上げようと思う。

「RICHARD MILLE」。機械式時計の異端であり最先端のブランド。これまでも世間の度肝を抜くタイムピースを数多く発表しており、高価ながらその人気は止まる所を知らない。

そして、RICHARD MILLEは挑戦的なブランドである。今回万年筆を手掛けたのも或る意味RICHARD MILLEらしいと言えるのかもしれない。尤も、このブログでも多く取り上げている様に、時計ブランドが筆記具や装飾品を手掛ける事は少なくない。手元を彩るアイテムとして時計と筆記具(特に万年筆)は互いを引き立て合う様な関係かと思う。
またどちらも昔ながらの懐古的なアイテムだからこそ、現在尚、脈々と受け継がれていると言う点も共通している。

つまり、私の様な時計好きは筆記具も好きなのだ。(勝手に断言)
時計(筆記具)だけだという方も、多分興味を持てば間違い無く好きになると思う。

さて、RICHARD MILLEの万年筆「RMS05」は、何と「機械式万年筆」と呼ばれており、私の大好きな「馬鹿な」ギミックが搭載されている。(画像1、2。画像1はペン先側から見た状態、画像2は軸尻側から見た状態。)
軸尻のボタンを押すと、内部の機械が作動を開始し、約10秒掛けてペン先がゆっくりとせり出してくるのだ。
本来、ペン先が軸内に収納されており使用時に繰り出すタイプの万年筆は、所謂キャップレスのモノである。キャップを無くす代わりに乾くと使用出来なくなるペン先を収納する必要から生まれたアイデアであろう。
その為、キャップを持つRMS05には正直無駄でしか無い機能である。しかし、機械式時計と同様、無駄こそが価値であるとも言える。
このペン先が出てくるまでの10秒を「重要な契約書にサインする時に、この10秒が最後の決断の時になるかも知れません」と述べているのだが‥

更に、この万年筆は収納も秀逸で、収納時にペン先が押し込まれる事でゼンマイを巻き上げ、次に駆動する動力としているのはなかなかのアイデアと言えるだろう。(動画に関してはオフィシャルのモノが無かったので個人で検索してみて頂きたい。)

流石RICHARD MILLE、まさかここまで無駄な機構に真剣に取り組む事が凄いと本気で思う。

素材についてもやはりRICHARD MILLEであった。やはり時計同様に最先端素材が使われている。
軸等はNTPT®カーボンケースで形成され、木目の様な模様が美しい。金属部分はチタンである。(勿論Grade5である。)ニブは18KWG。
シースルーバックの様に、スケルトナイズ(当然サファイアクリスタルを使用)されてペン先をせり出す為の機械が見えるのも時計ブランドならではであろう。(画像3)機械の仕上げも時計と遜色無いと思われる。しかも如何にもRICHARD MILLEらしい設計のムーブメントである。

そして価格もやっぱりRICHARD MILLE! 驚きの\13,000,000。(税別)
時計に負けず普通に1千万円オーバーであった。
尚、インクについては吸入出来るのかは不明である。カートリッジ専用かもしれない。因みにキャップの上部には六角レンチが仕込んであり、カートリッジ交換にの際にはこのレンチを使用する。ペン先を直接触らない為の配慮だろうか。

カフリンクスもそうだったが、万年筆にもしっかりギミックを組み込んでおり、RICHARD MILLEのメカニカルな世界観を巧く継承していると感じた。

貴方が決断の10秒を仕事に活かすならRMS05は最良?の選択だ。そしてそのペン先がせり出す10秒は貴方だけでなくサインを待つ全ての関係者が息を呑んで見守る事だろう。その時点で契約は成功したも同然かもしれない。

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