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Channel: 心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく・・
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TSUNAMI

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子供が誕生して、いよいよ時計等に現を抜かしていられなくなってきそうだ。これが貧乏人の現実なのだろう。これはドイツメイドのクロノグラフを手にする事は叶わないかもしれない。

そんな私が制限された予算で(最後の一本のつもりで)時計を購入するとしたら「Tourbillon by Hajime Asaoka」の投稿で述べた、日本の独立時計師「浅岡肇」氏が新たに手掛けた3針時計(画像1)が最有力候補に挙がる。

「TSUNAMI」と名付けられたこの時計はベーシックな3針スモールセコンドで現在最も魅力的且つコストパフォーマンスに優れた時計であると言えるだろう。

独立時計師の作品は、規模の大きい時計ブランドとは違い、時計師本人が個人的に作りたい時計を作っている為、制作に時間が掛かり、必然的に本数が少なくなる為、希少性とユニークさがメリットである。大衆向けでなく個人向けに作られた時計と言っても過言では無い。時計制作者とユーザーが最も近い位置に有るのだ。

だが、世界各国に独立時計師が存在するが、時計制作の殆どを一人で行っている者はその一握りである。また、独立時計師は非常に優れた時計作りの才能を持っている為、どうしても個性的且つ複雑な機構の高額な時計に重点を置きがちになる。
これは別に否定する訳では無く肯定なのだが、複雑でオリジナリティ溢れる時計は見る者を魅了するし、所有する喜びを齎すだろう。そして時計業界の発展にも寄与すると思われる。
唯、私には手が届かない高嶺の花なのだ。

対して手が届き易い価格帯のモノは、汎用ムーブメントをベースにしていたりと、それ程魅力を感じなかったりする。
そんな中、ムーブメントも個性的で仕上げも美しく時計自体の完成度が高い。尚且つ頑張れば購入出来る現実的な価格帯の時計がTSUNAMIである。

「SLOW RUNNER」(同名の投稿参照)の様に懐中時計時代に多く見られた出テンプを採用(画像2)し、直径15mmの大型テンプが動く様はやはり圧巻だ。
洋銀製の地板に美しくペルラージュとコート・ド・ジュネーブが施されおり面取りも申し分無い。
振動数は18000bphでパワーリザーブは40時間。フリースプラングを採用。
ケース径は37mmで日本人が手掛けた日本人に相応しいサイズの時計であると言えよう。
ダイヤルも浅岡氏が手掛けており、コールドエナメルを採用している。尚、ダイヤル等はある程度オリジナルの注文にも応じているとの事である。

「PHILIPPE DUFOUR」の「Simplicity」の初期ロットも「フィリップ・デュフォー」氏本人が手掛けており、価格も良心的であったが、人気の為値上がりを続け最終ロットでは倍近くの価格にまで上昇してしまい、その上殆どが手作業の為生産が追い付かず、数名で制作する体制となった。
TSUNAMIの価格は税別で\2,500,000。この時計でこの価格と考えると本当に破格と言えるだろう。Simplicity初期ロットと同等のコストパフォーマンスではないだろうか。

貴方も日本人独立時計師が手掛けた至高の一本を、人生のパートナーとして選んでみては如何だろう。
但し、制作には時間を要するので早めにオーダーする事を推奨する。

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