最近、父親の時計である「CREDOR」の「SIGNO GCBW993」、嫁の時計である「Breguet」の「CLASSIQUE 8067」等、日常的に使っている機械式の腕時計の調子が悪くなる事が続いている。(それぞれ「時計66」、「時計71」の投稿参照)
同様に私が愛用している「PATEK PHILIPPE」「Nautilus 5712/1A」もまた不具合が出てきた。
やはり手巻きに比べて、頻繁に動かしている自動巻きは磨耗が早いのだろう。
Nautilus 5712/1Aは「時計63」の投稿時から多少進み気味の傾向で数日使っているとやはり少し早いと実感出来る位である。(Breguetの「TRADITION 7027」も歩度は進み気味なのだが、手巻き故普段は止まっており、使用する際に時刻を合わせているので進み気味だと実感出来ない。)
そして「時計26 その1~その3」の投稿で述べた初期不良の様に、またパワーリザーブインジケーター(ゼンマイの力の残量表示)が残っているにも拘らず停止するという事が再び起こり始めた。
一応初期不良の時と違い、停止するのは決まって22~24時前後である。つまりムーンディスクやデイトの送りを行う時に必要なトルクを確保出来ず、そこで止まってしまうと言う事であろう。
Nautilus 5712/1Aは、23時前後にムーンディスクが送られ、24時前後にデイトが送られる。
デイトは他の時計と同様で12時を境に翌日へ瞬間的に切り替わる所謂「ROLEX」のデイトジャスト機構である。(寧ろ現行ではデイトジャストで無い時計の方が珍しい。)
デイトジャストは日車を日送りバネの力で動かしているのだが、当然バネが作用しているので通常よりも抵抗が生じる。パーペチュアルカレンダー(閏年まで計算された日付表示機構)を含め、複雑なカレンダーは送る必要の有るモノ(曜日や月、月齢等)が増える為、深夜には非常に大きなトルクが必要になるのだろう。私の予想では複雑なカレンダーを搭載した時計は深夜に停止する可能性が高いと思われる。
Nautilus 5712/1Aの月齢用のムーンディスクもデイトジャストと同じ仕組みで切り替わっていると思う。(ムーンディスクが24時でなく23時に切り替わるのは何か意味が有るのだろうか?必要トルクの分散?詳しい方、是非御教示願いたい。)
深夜はこの様に時計内部はかなり忙しい状態である。カレンダーを深夜に調整してはならないと言うのもこれらに影響する歯車が作用している時間帯だからである。下手に動かすとエラーや不具合が発生するのも頷ける。
それにしても、少し抵抗が増えると止まり易くなると言う事はトルクが落ちてきていると言う事なのだろうか。
OHも覚悟して時計店で歩度を測定して貰った。
Nautilus FULL WIND(48h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 日差+12
縦置き 3時上位置 日差+14
縦置き 12時下位置 日差+10
平置き 文字盤上位置 日差+17
平置き 文字盤下位置 日差+19
平置きのテンプ振り角 320°
確かにテンプの振り角は落ちていた(前回測定時は347°)が、時計店のスタッフ曰く、気にする程では無いとの事。
進み具合も前回測定時と殆ど変わらない状態で、姿勢差が+9秒と10秒以内に収まっているのは、ジョギング等でラフに使用している時計と考えると非常に優秀との事である。寧ろこれだけの薄型且つCOSC認定Chronometerも所得していない6振動(振動数21600bph)の多機能時計で在りながらROLEX等の実用機械式時計と互角以上の精度なのは素晴らしいとの評価だった。
ふむ、言われてみれば。気にした事は無かったが、PATEK PHILIPPEもROLEX等とは別のスタンスの実用時計として追求されてきた時計と言われている。(愛読する時計雑誌「Chronos」でも実用に優れると書かれていた。)
一応パワーリザーブインジケーターの有る時計のメリットのひとつだが、半巻き等の状態も点検して貰った。(インジケーターが有る為、ゼンマイがどれだけ巻かれているのかが解る。)
Nautilus HALF WIND(24h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 日差+16
平置き 文字盤上位置 日差+18
平置き 文字盤下位置 日差+21
平置きのテンプ振り角 275°
最も悪い姿勢でのテンプの振り角が246°
Nautilus QUARTAR WIND(12h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 日差+9
平置き 文字盤上位置 日差+14
平置き 文字盤下位置 日差+24
平置きのテンプ振り角 241°
最も悪い姿勢でのテンプの振り角が219°
流石に12hではかなり振り角が落ちているが自動巻きなので、実際には24h以下の振り角は、余り気にする必要が無いだろう。
スタッフは全然問題が無いとの回答だった。深夜に時計が止まるのは仕方の無い現象の様だ。
もっと如実に停止するか、明らかに進み過ぎか遅れ過ぎならOHした方が良いとの意見だったので従う事にした。
取り合えず現状は不具合を気にする必要は無い事と、PATEK PHILIPPEの信頼性の高さと言う2つの安心を得、帰宅するのだった。それにしてもやはりパワーリザーブインジケーターは色んな意味で便利な機構である。オススメだ。