「アニメ5 (時計53)」及び「時計65」の投稿で、アニメーションや漫画に登場した時計について述べた。
今回は、その発展系?とも言えるアニメ作品を紹介したい。但し、その作品には実在する時計、若しくは実在する時計をモチーフにしたモノが登場する訳では無い。
タイトルは「クロックワーク・プラネット」(以降CWP)。原作はライトノベルで、著者は「榎宮祐」・「暇奈椿」の合作との事。(画像1)
ストーリーのイントロダクションは‥
「――唐突だが。
世界はとっくに滅亡している。
1000年前に一度滅んだ地球を「Y」と名乗る伝説の時計技師が時計仕掛けで再構築した世界。
落ちこぼれの高校生・三浦ナオトは、「Y」が残した自動人形(オートマタ)のリューズ、そして天才時計技師の少女・マリーと出逢う。
彼らの能力が噛み合う時、運命の歯車は回り出す。
破綻と延命を繰り返し、崩壊寸前の地球(「クロックワーク・プラネット」)を修復するクロックパンク・ファンタジー!」
つまり、地球は大きな機械式時計となり歯車で動いていると言う何とも独創的なストーリーである。
更に、有能な時計技師は、時計の製造や修理だけでなく、惑星機構の維持と保全に従事している。
機械式時計の世界観をサイバーパンクチックに構成した世界観はなかなかに興味をそそる。クロックパンクとはよく言ったモノである。
しかし、ここからが本番。CWPでは時計好きが注目する様な単語が沢山並ぶのだ。
イントロダクションで登場した少女マリーの本名は「マリー・ベル・ブレゲ」であり、五大企業の一つ「ブレゲ社」の令嬢。ライバルに、同じく五大企業の「ヴァシュロン社」が登場した。
「Breguet」と言えば「マリー・アントワネット」(「時計15」の投稿参照)。
意図を感じずにはいられない。
それにしてもBreguetを所有している私には結構嬉しい抜擢である。「PATEK PHILIPPE」も所有している私には今後「パテック社」も登場すると予想されるので楽しみも大きい。
そして、マリーのボディーガードが「ヴァイネイ・ハルター」。「HARRY WINSTON」の「OPUS」シリーズの3作目「OPUS3」を手掛けた事でも有名な独立時計師「VIANNEY HALTER」の名前そのものである。
実際私は、VIANNEY HALTERの時計はクロックパンクと呼ぶに相応しいデザインだと感じる。CWPには良いキャスティングと言えるかもしれない。(画像2、VIANNEY HALTERの代表作「ANTIQUA」はまさにSFの世界観である。)
尚、OPUS3は機械式時計の時刻表示をデジタル化した意欲作だ。(画像3)後に与えた影響は大きい。
作中に登場するオートマタも時計とは縁が深い。機械仕掛けの自動人形は、「JAQUET DROZ」の祖である時計師「ピエール-ジャケ・ドロー」が得意としており、現在もその名に恥じぬようオートマタを組み込んだ芸術的な腕時計等を手掛けている。
CWPではオートマタの名前がリューズ、アンクル等時計のパーツから名付けられている。固有機能も「パーペチュアル」、「デュアルタイム」、「レゾナンス」と、時計好きなら知っている単語ばかりである。
また、歯車の世界だけに、磁力(電磁波)が天敵となっており、電磁波が一切無く、表向きはその研究等も禁止されている。勿論電磁波を受けると時計は止まってしまい磁気抜きが必要なのは現実と同じである。
気になる点を挙げるなら、強いて言うならタイトルがClock(置時計)workだが、Watch(携帯時計)的な内容が強いと感じる。(時計のメカニズムの描写については、個人的にはノーコメントで。)
物語は結構ベタな感じだが、時計好きならニヤリと出来るCWP。楽しんで見て頂きたい。
因みに、アニメCWPの公式HPでは、PV等が見れるだけでなく、私のブログでも何度か取り上げた独立時計師「浅岡肇」氏と原作者両名の対談が綴られているので、興味が有ればそちらも是非。(URLは、http://www.tbs.co.jp/anime/cp/)