前回、「時計80」の投稿で弟の時計である「Breguet」の「CLASSIQUE 5907」のOHが完了した事を述べた。(画像は、私の「TRADITION 7027」とOHを終えた弟のCLASSIQUE 5907。)
返ってきた際に現状を把握すべく、歩度測定をして頂いた。
まずは一年前の状態。(「時計64」の投稿参照)
FULL WIND(95h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 日差+9
平置き 文字盤上位置 日差-2
平置き 文字盤下位置 日差-13
機能点検(竜頭、ゼンマイ巻き上げ)異常無し
磁気残留有り→磁気抜き
次が今回の状態。
FULL WIND(95h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 日差+19 テンプ振り角225°
縦置き 3時上位置 日差+13 テンプ振り角256°
縦置き 12時下位置 日差+13 テンプ振り角263°
平置き 文字盤上位置 日差+ 2 テンプ振り角287°
平置き 文字盤下位置 日差+12 テンプ振り角304°
前回は3姿勢でも最大22秒もの姿勢差が有り、しかも全般的に遅れが生じていたのだが、今回の姿勢差は5姿勢で最大17秒、そして殆ど13秒付近で纏まっており、まあまあ納得出来る精度となった。
但し、3時下位置のテンプの振り角が他に比べ上がっておらず、それ故ビートが早いのか突出して進み気味の傾向になっているのが個人的には気になる。夏場は遅れる傾向に有るので冬場には更に早くなる可能性が高い。
尤も、この時計はパワーリザーブが95hも有る為、FULL WIND(全巻き)の状態ではトルクが強くなり過ぎているのかもしれない。手巻きは自動巻きと違い、常時FULL WINDと言う訳では無い。(手巻きは必ずゼンマイが解けていくが、自動巻きは身に付けている限りゼンマイが最大まで巻かれている事が多くなる。)
私の考えだが、自動巻きの場合は、FULL WIND及びその付近で最も良い精度を出せる様に調整すると日常精度は良さそうで、手巻きの場合は駆動時間全体を平均し精度を追った方が良さそうだ。(極端な表現だが。)
唯、私のTRADITION 7027がOHから返ってきた時はもっと姿勢差は少なかった。(「時計45」の投稿参照)
その時の結果は以下の通りで、
FULL WIND(50h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 日差+11 テンプ振り角273°
縦置き 3時上位置 日差+ 8 テンプ振り角261°
縦置き 12時下位置 日差+ 8 テンプ振り角278°
平置き 文字盤上位置 日差+12 テンプ振り角296°
平置き 文字盤下位置 日差+11 テンプ振り角300°
と、かなり優秀だった。
当時は調整直後なので当たり前だと思っていたが、今回の結果を鑑みて、TRADITION 7027は、素晴らしい調整だったのだと知った。個体差や時計師の腕等様々な要因が有るが、やはり時計なのだから良い精度で返ってくる方がOHに出した甲斐が有ると言うものだ。(今回のCLASSIQUE 5907の調整が悪いと言っている訳では無いが、どうしても見劣りしてしまう。)
無論、実際に使用しているとまた違ってくるのかもしれないが‥
色んな意味でなかなか考えさせてくれたOHだった。