「アニメ5 (時計53)」の投稿と似た様な内容なのだが、今回はずばり実在する時計そのものがストーリー上必要なアイテムとして登場した漫画を取り上げたいと思う。
「うぽって!!」(画像1)。「天王寺キツネ」氏に依る漫画でアニメ化もされた。うぽってとは、鉄砲を逆さに読んだタイトルであり、鉄砲、即ち銃を擬人化したキャラクターに因る漫画である。因みに天王寺氏の漫画はうぽって!!以外では「オルフィーナ」も全部持っている。作者である天王寺氏は元々成年漫画も手掛けていたのでうぽって!!の絵柄にも多少婀娜やかさが有るのが良い。(アニメは全然雰囲気が違いムッチリしたボディの絵柄に変わった。キャラクターデザインの影響だと思われる。)
擬人化とは、モノを人物として例え、其の特徴を表現する事である。うぽって!!では銃が人間として描かれ、学園生活を送っているのだが、銃の特徴に応じた多彩なキャラクターが登場する。尚、うぽって!!はハンドガン(拳銃)ではなく、基本的にマシンガン(機関銃)がメインとなっている。
実は私も結構銃等が好きで、高校生位には友人とサバイバルゲーム等をしたりしていた事もある。サバイバルゲームとはルールを決めて行うエアーガンによる戦争ゲームである。
私は「GLOCK 17」、「BERETTA M92F」等ハンドガンばかりを使用していたが友人は「HECKLER & KOCH」の「MP5A5」等のサブマシンガンが最も多く、中にはアサルト・ライフルや狙撃銃等の長く火力や射程の有る銃を使っている者もいた。(結局は高校生だと個人の財力や趣味への金の使い方で戦力に差が生まれている訳だ。)
仕事を始めてからはエアーガンからも遠ざかっており、サバイバルゲームはおろか、持っていた銃も全て処分してしまっていたのだが、うぽって!!を書店で発見するとつい手に取ってしまった。
作者である天王寺氏は相当な銃マニアで、だからこそこんな漫画を連載するに至ったのだが、マニアな分かなり銃については詳しい。そしてそれが擬人化されたキャラクターの特徴として個性を与えている。
実銃をモデルにしているだけ有り、その造詣の深さがリアリティを与えているのが良い。上手く空想と現実を融合させているのだ。
で、漸く時計の話になるのだが、漫画に登場する銃や土地等が現実に存在する様に、この登場人物が使用するアイテムも現実に存在するモノを選んだのだろう。(と言っても4巻まではそんな事は無かったが。)
5巻に登場するイタリアチームは勿論皆イタリアで作られた銃である。その装備に「PANERAI」の「PAM00115(LUMINOR MARINA LEFT-HANDED)」が描かれている。(画像2、3。画像2は漫画で描かれたモノ、画像3は実物の写真。)時計好きとして嬉しいのは、ちゃんと潜水時にレザーストラップをラバーストラップに換装するという様な事まで描かれている点である。(画像4)イタリアの銃だからこそ時計もイタリアのブランドでありイタリア軍で採用されているPANERAIを選んだのだと思う。
他に、主人公「FNC」の姉である「FAL L1A1」の腕時計は「NOMOS」の「TANGENTE」なのが確認されている。(画像5、6。画像5は漫画で描かれたモノ、画像6は実物の写真。)FAL L1A1はイギリスの銃(元である「FN FAL」はベルギー製)なのだが何故ドイツの時計を選んだのかは解らない。似合っているので良いのだが。(尤も、ヨーロッパの時計はスイスとドイツが大半を占めるので、これらから選ぶしか無いのかもしれない。)
個人的にはFAL L1A1は擬人化もスタイルが良い美しい女性として描かれているので、(私が選んだ事も有るが)「SERIES 33」だと尚似合うと思う。(漫画では流石にケースサイズまでは解らない。針は白くなっているので「TANGENTE SPORT」の可能性も有るが、インデックスにルミノバが使われいる様な描かれ方は無い。)
時計は、キャラクターの印象を左右出来るアイテムであると共に、漫画の世界観に現実味を与えていると思う。それにしてもうぽって!!(5巻一冊)で2つも機械式時計が登場するとは思わなかった。天王寺氏、機械式時計に目覚めたか?(元々天王寺氏が時計好きかは不明。)
登場人物が銃で在る限り、どちらかと言うと軍に採用される様な時計がメインでドレスウォッチ等は殆ど登場しないだろう、今後は銃だけでなく装備等のアイテムにも注目出来そうだ。
それにしても銃にしろ時計にしろ、動かない場合は生命に関わるモノはやはり作りが重要だ。(量産も重要だが。)この様な精密機械の分野は生命を守る為に発展したと言っても過言では無い。心惹かれる理由のひとつではないだろうか?
皆も興味が沸いたなら是非読んでみて頂きたい。