購入した「GALANTE」の「SBLA085 ”Artemis”」について。
SBLA085はGALANTEのプレミアムローズシリーズの最新作である。2015年3月7日に65本限定で販売が開始された。
第5弾目となる今回は「ホワイトローズ」、つまり白薔薇。コンセプトはArtemis:アルテミス。
白薔薇と言えば第2弾である「SBLA061 ”Beauty and the Beast”」(同名の投稿参照)の事である。白・黒・金のコンビネーションが強烈な存在感で、当にBeauty and the Beast:美女と野獣の名に相応しい時計であった。
第1弾から黒薔薇、白薔薇、赤薔薇、青薔薇であった。ここにきてまた白薔薇が登場するとは思っていなかった。(ネタ切れだろうか?)
第3弾以降、赤薔薇はブラッディローズ、青薔薇はブルーローズ、そして今作がホワイトローズと「○○ローズ」と書かれているので第1弾・第2弾とは少し違うのかもしれない。その理由として第3弾から文字盤の薔薇のモチーフ部分にMOP(マザーオブパール)を使用している。(GALANTEでは白蝶貝と表記。)
SBLA085はMOPをそのままの色で使用しており、紫のラインで縁取りしている。この紫はGMT針の先端にも使われている色である。
湾曲秒針は漆黒。12時・3時・6時・9時の大型バーインデックスも黒くガンメタリックの様な色になっている。他の短いインデックスはシルバーである。
見返しの部分は黒地に白文字(とシルバーのドット)でGMTの時間を表示。同じ白薔薇のSBLA061と比較するとよりシックな色合いになった印象。ヤンチャさと言うかワイルドさが減り歎美さを足した様に感じる。
同様にベゼルも薔薇の蔦や棘を連想させるアラベスク模様がエッチングで刻まれているが、第1弾・第2弾と違い、8箇所にブラックダイヤモンドを埋め込み煌びやかな装いとなっている。
さて、Artemisと言えばギリシャ神話に登場する女神である。狩猟と貞潔を司り、月の女神とも言われる様になった。(他の神話の女神と同一視された事に依る。)
SBLA085はArtemisの名に因み、夜の世界で月明かりに照らされる美しい白薔薇を表現しているとの事。これが耽美さを感じさせる理由かもしれない。
もうひとつArtemisがプレミアムローズシリーズの名に選ばれた理由が有る。それが「Artemis」と言う品種の薔薇に由来する。
美しさを保つ事が難しいガーデンローズ(薔薇の戸外品種)でも特に品質の管理が難しいとされてきたのが白薔薇である。ちょっとした気象の変化や日光等で病気になったり黴が発生し易く、綺麗な状態をなかなか維持出来ないらしい。
そんな中、遂に弱点を克服し、初心者でも容易に扱う事の出来る品種Artemisが完成。病気や黴に強く、美しい白を永く楽しめる強い薔薇が誕生した。Artemisの銘に相応しい強さと美しさ、そして純粋さを兼ね備えた優れた品種と言えるだろう。SBLA085ははこの薔薇の高潔な魂を受け継いだ時計とも言えるのだ。
尚、第4弾の「SBLA079 “BLUE ROSE”」も「SUNTORY blue rose APPLAUSE」と言う品種より銘を冠している。(「バレンタイン8 (時計74)」の投稿参照)
ケースバックは勿論シースルーバックなのだが、そのサファイアガラスには薔薇のアイコンが印刷されている。微細なラメが輝く黒色の薔薇は夜露に艶めく薔薇をイメージしているとの事。
私の初の所謂デカ厚時計で、そのサイズも重さもダントツである。ケース径(幅)44.9mmで厚さ16.1mm、重さは何と247g。その分迫力も有る。
バランスが悪いかと思ったが、湾曲した形状の台座の御蔭か腕の納まりも悪く無い。
ケースもブレスレットも表側は全てポリッシュで仕上げられピカピカである。ケースの造形も非常に複雑でその分コストが掛かっていると思う。
コマの調整部分はCリング式となっている。Cリング式は割りピン式の次に採用されているが、ネジ式に較べると廉価なモデルに多く採用されている。尤も、ネジ式でなくCリング式を採用したのはブレスレットの形状等を考慮した上ではないかと思う。Grand Seikoのブレスレットも素材の違い等でネジ式とCリング式を使い分けている。
ムーブメントは「SPRING DRIVE」(以降SD)の「Cal.5R66」。GMT機能が追加された自動巻きである。
オニキスが埋め込まれた竜頭はねじ込み式で、ねじを緩めるとゼンマイを巻ける状態となり、そこから一段引くと時針のみを1時間単位で送り戻しが出来る。もう一段引くと時刻調整が行える。GMTウォッチに多く採用されるシステムだ。特に珍しい訳では無いが私が持っていない機構なので少し嬉しい。精度も目に見える様な狂いは全く無く、流石はSDと言えるだろう。
竜頭の操作感も上々で、巻いた感触も時針を動かした感触も結構良いと思う。
私が所有する「PIERRE KUNZ」の「CUPIDON」に「愛」のモチーフが沢山詰め込まれていた様に、SBLA085もArtemisと同銘の薔薇のモチーフを存分に詰め込んだ時計だと思った。
次は気になった点等を述べようと思う。(内容に依ってはファン限定とするかもしれない。)
画像は
画像1 外箱
画像2 飾り箱
画像3 飾り箱の中
画像4 付属品等
画像5 ダイヤルの拡大
画像6 装着した状態
画像7 シースルーバック
画像8 ブレスレットのコマとCリング及びピン
となっている。