「某宝飾時計店37」の投稿で格段に時計のクオリティが向上していると述べた「BVLGARI」。
今年の「BASELWORLD」で発表された時計の中でも名立たる名門時計ブランドに匹敵する完成度の高い時計を発表している。
改めて今年の時計を見直してみて、複雑機構を搭載した時計を除き比較的シンプルな機構のみの時計を見比べてみた結果、私が傑作だと感じた時計が「PIAGET」の「Altiplano 38mm 900P」(同名の投稿参照。こちらはBASELWORLDでは無くSIHHで発表。)とBVLGARIの「OCTO finissimo PETITE SECONDE」である。(画像1.尚「H.Moser & Cie.」等他にも傑作の時計は有るが、ムーブメントが新作と感じられなかったモノは除外する。)
薄さの極致とも言えるAltiplano 38mm 900Pは意匠も好ましかったが、OCTO finissimo PETITE SECONDEも素晴らしい出来で今回取り上げようと思った。
デザインは今、BVLGARIの新しいアイコンとなっている「OCTO」。円と八角形を巧みに融合させた特徴的なデザインは、大胆且つパワフルな印象を与えつつも非常に調和の取れた飽きの来ない魅力的なスタイルだが、元々は「ジェラルド・ジェンタ」氏が「Gérald Genta」で生み出した造型である。流石と言えるだろう。
Gérald Gentaを統合しBVLGARIのコレクションとして見直されたが、複雑で立体的な造型ながら、向上した仕上げで美しく仕上がっている。その中でも「finissimo」はスモールセコンド以外にトゥールビヨンモデルも有るのだが、どちらも薄型の見目麗しいドレスウォッチとして誕生した。
はっきり言って、現在のBVLGARIの仕上げでなければこの複雑な形状のケースでは、粗さが際立ってしまいこれ程美しく見えなかっただろう。やはり細部の仕上げが肝心と言える。
文字盤も艶やかなブラックラッカーの輝きが高級感を演出している。このシンプルな高級感は当時のアバンギャルドなGérald Gentaには持ち合わせていなかった雰囲気ではないだろうか?ジュエラーであるBVLGARIと統合されたからこその新しいOCTOの在り方だと思う。
ところで7時位置に配されたスモールセコンドは、皆はどの様に感じるだろうか?私は悪くは無いが秒針無しかセンターセコンドの方がOCTOには似合うと感じるが‥唯一気になる点である。
finissimoの特徴とも言える薄さだが、フライングトゥールビヨンのモデルは現在世界最薄との事らしい。手巻きのスモールセコンドのfinissimo PETITE SECONDEはムーブメント厚2.23mmとウルトラスリムクラスでは無いがその分耐久性が高そうだ。(画像2)
仕上げも丁寧で、薄型では珍しくムーブメント全体をブリッジで覆ってある。当然厚みが増すが耐久性に優れる。背面にパワーリザーブインジケーターを備えて有る事も個人的には評価が高い。尚パワーリザーブは70時間と十分確保されている。
そして時計本体はケース径40mmとトレンドに準じたサイズだが、厚みは何と5.15mm。やはりこの造型で5.15mmと言う薄さが素晴らしい。(画像3)
ケースはPT950のみで価格は\2,889,000。PTではどうしても価格が高くなってしまうが、PTで300万以下に抑えたとも言える。SS(ステンレス・スチール)ケースで100万程度、若しくは18KGで150万程度で販売されるなら誰にでもオススメ出来るドレスウォッチの一本となるだろう。
貴方もOCTO finissimo PETITE SECONDEでダンディズムを体現してみては如何だろう。ブラックタイにも似合うフォーマルな美意識の中にジェンタ氏の放つ個性とBVLGARIの婀娜やかさを感じ取る事が出来るだろう。そしてそのエクステリアに負けない魅力と実力、利便性を兼ね備えたムーブメントにも永く愛着を感じる筈だ。