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Channel: 心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく・・
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CTB

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「時計85」の投稿で述べた「ARNOLD & SON」。
今回はその中でも特に気になる時計を紹介しようと思う。

まずARNOLD & SONについてだが、1764年に「ジョン・アーノルド」が創業したイギリスのブランドになる。
スプリング・デテント式脱進機や(マリン)クロノメーター等機数々の発明・発展に尽力したとされる偉大な時計師であり、「Breguet」の祖である「アブラアン・ルイ・ブレゲ」とも親交があったと言われている。
時計史を語る上で欠かす事の出来ない、重要な人物の一人である。

その後ARNOLD & SONは数多のブランド同様休止を余儀無くされ、1995年「The British Masters SA」に依って復活、イギリスでは無くスイスに本拠地を置き現在に至る。

流行の復活したブランド同様に偉人の名を冠したのみの実質は殆どジョン・アーノルドには関係無いブランドでは有るが、その思想が現在の作品にも受け継がれており独特の個性を生み出している。

「Royal Collection」と「Instrument Collection」の2つのコレクションを展開しており、Royal Collectionはイギリス王室の為に手掛けた時計から、Instrument Collectionはマリンクロノメーターからそれぞれインスピレーションを受けて作品を手掛けている。

今回紹介する「CTB」も「時計85」の投稿で述べた「DSTB」と同様Instrument Collectionに属する。CTBもデッドビートセコンド(true beat seconds)となっているのだ。
マリンクロノメーターだからこそデッドビートになっているのかもしれない。(Instrument Collectionの時計全てがデッドビートと言う訳では無い。)
尚、CTBは「Chronograph True Beat」の頭文字である。(DSTBは「(Dual Side True Beat」。)
画像1は正面、画像2は斜から見たCTB。

CTBの面白い処はこのデッドビートセコンドをクロノグラフ(ストップウォッチ機能)と合わせた点に有る。
センターに永久秒針とクロノグラフ秒針を備えるのだが、永久秒針はデッドビート、即ちステップ運針でクロノグラフ秒針はスイープ運針となる。
つまりクロノグラフを作動させるとステップ運針とスイープ運針が同軸上で一緒に回るのだ。この動きに目を奪われる。まるで追いかけっこの様な独特な動きの2針はこれまで見た事が無い。
ダイヤル配置も見事で12時位置のインダイヤルには時分を、6時位置のインダイヤルにはクロノグラフ用の積算分針を備える。このシンメトリックなエキセントリックダイヤルは端正で調和が取れており好感が持てる。一見するとシンプルで古典的なのも私の好みである。

また今回取り上げたのは現実的に入手出来そうな価格と言う事も有る。
素材もSS(ステンレススチール)モデルが有り、価格は\2,851,200。Breguetのトゥールビヨン等とは違い手が届く範囲である。また珍しい機構と考えるとかなりリーズナブルなのではないかと思う。
ケース径は少し大きめで44mm、自動巻きでパワーリザーブは50時間、振動数は28800bph。
SSモデルのムーブメント「Cal.A&S7103」(画像3)はNACコーティングが施されておりグレーカラーとなっている。シースルーバック(画像4)から覗くメカニズムは少々在り来たりで物足りないが、コラムホイールを見る事は出来る。

デッドビート機構及びクロノグラフ機構が見えるスケルトンモデルなんかが発売されれば更に魅力が増すのではなかろうか?

貴方もCTBでステップ運針とスイープ運針を両方愉しんでみては如何だろう?その独特な針の動きは時計に興味が無い者も魔法が掛かったかの様に惹き付けられるに違いない。勿論時計を知る者もそのメカニズムに感嘆の声を上げる事だろう。

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